6 volta
第6話
イタリアの祭日パスクワ(復活祭)がやってきた。
イタリアへ来たのは初めて。渡伊前に、イタリアについて何を学んで来たのか?
数ヶ月、そう...短期のイタリア集中語学。
思い起こせば、それだけ?だったかもしれない。
お祭りの日程等は、リサーチ不足であった。
日本同様、イタリアにも祭日がある。
訪れた4月1週目に、クリスマスやお正月よりも盛大な祝日がやってきたのだ。
キリスト教徒のお祭りで『復活祭』と呼ばれている行事だ。
イタリアでは、パスクワと呼ばれいる。私もそうだけど、参加した仲間もみんな知らない。
復活祭シーズン。
お菓子店のショーウィンドには、カラフルな巨大チョコ卵が飾られている。
十字架にかけられて亡くなったキリストが、復活する日らしい。キリストの復活を祝う日なのである。
その日はいつなのか?「春分の日の後の最初の満月の次の日曜日」がその日にあたる。
何だか、考えてると頭が混乱してくる。笑。
満月の次の日曜日か...何だか神秘的。
十五夜みたいだわ~月見饅頭なんて食べたりして?
ここは、イタリア...そんな事はないだろう。
でも、後に満月饅頭ならぬ、卵型チョコを食べる
風習がイタリアにある事を知った。形は、ほぼ一緒だなあ~。甘いというのも共通しているわ。
いったいどんなお祭りだろうっか?復活祭を祝って、イタリアは連休が始まる。
学校や職場も1週間程の休みになる。夏休み(バカンス)前の、プチ休日という所だろうか。
『お祭りの休みは、イタリア人はどんな風に過しているの?』助手のマリエッラさんに尋ねてみた。
パスクワになると、お弁当を作り、家族揃ってピクニックに行く習慣があるんですって♪素敵~♪
イメージは、お花見だろうか?とにかくピクニックとは、いい響き!(行きたい!)
私達も、パスクワにはピクニックを体験出来るのかな?
それは、ないわよねェ~。そう思っていた。(この時までは)
ルッカの街も、お祭りムードが漂っていた。
お菓子屋さんには、パスクワ用の、派手なラッピングの大きなチョコレートで出来た卵が
至る場所に陳列されていて、とても綺麗だった。
『どうして卵なのかな?』何かわからないけど、お祭り騒ぎは大好きな私。
菓子店のショーウインドの巨大なチョコ卵を見て、何故か興奮してしまった。
チョコ卵はいつ食べれるのか?どうして卵なのか?色々な疑問が頭の中をよぎる。
一般的な説の一つに『卵は生命が生まれる物であり、キリスト教の象徴』が有力説らしい。
『金色に塗られた卵。何だかイタリアで浴びている元気な太陽にも見えるわ~』
イタリアの太陽って、本当に元気になるんです。
私だけ?かなあ...。
そんなイタリアで、3ヶ月も太陽を浴び放題の私。日焼け跡がくっきりと残っている。笑
日本で卵を見ると、イタリアの盛大なお祭り『パスクワ』そして『ジャンルーカ先生』を思い出す。
伝統的な建物の商店街。色鮮やかなショーウインド。
イタリア人はセンス抜群。
巨大なショーウインドのチョコ卵、それと家庭でも、家族から贈られたチョコ卵も同様に、
お祭りまで飾っておく。
そして当日に中身(中身に何か入っているらしいの)を開ける習慣があるそうです。おまけ付き♪
どこかで聞いた事があるぞ~おもちゃの缶詰みたいだわ~。(ワクワク♪)
パスクワの習慣話を聞いた、数日後のある日。実習後、ホテルの部屋に戻ったら、、、
ベットメイキングさんからのプレゼント?小さな卵型のチョコが部屋のテーブルの上に置いてあった。
『わぉ~っ!』早速、上の階のゆかちゃんに連絡を入れてみた。
何と、私の心情を掴むのが早いのか。。会ってまだ1週間経過していないのに。笑
『パスクワ当日(次の日曜日)まで、中身を開けちゃいけない!』部屋へ入る度に、可愛い卵型チョコに
そう言い聞かせて、当日を迎えたのは、言うまでもない。
『中身も楽しみ~チョコの味も気になるぅ~』
私の胃袋の叫びが、ここでも聞こえて来てしまった。
小さい時に母から言われ続けた言葉を思い出す。
『腹も身のうち』 身体を壊しては、イタリア滞在も楽しく終える事は出来ない!
母の助言は正しいかも。以降、イタリア滞在時は、よく母の助言を思い出していた。
食べすぎには、十分注意しなきゃ。
ルッカ市内のバール(喫茶店)。
ちょっと歩き疲れた時には、超甘いデザートで癒される。
イタリアの祭日(それと日曜日)は、凄い。
これもカルチャーショックだった。
『なるほど~今の生活に慣れている日本人は、生活出来るかな?イタリアで』
ふと、考えてしまった。
便利な世の中っていつから始まったのかな?異国の地で改めて考えさせられた。
まず、祭日・休日には、殆どのお店(スーパーも)が閉まっている。(えっ?日本じゃ逆だわ)
サービス業をしている人も日曜日は休日なのだ。
バス、鉄道も休日運行で本数が少ない。
って事は、家でのんびとした方がいい日って事なんでしょうね。
日曜日は家族との時間なのでしょう。
いつでも開いている日本のお店。便利さと引き換えに、家で過す時間を無くしてしまった。
イタリアへ来てみて、時間がゆっくりと流れていくのが、実感出来る。
祭日、休日は、デパート、観光地が最盛期。
日本じゃ、24時間営業なんてあたり前の時代。
お店が閉まっていたら、日本人は家で家族と優雅に過せるのか?ピクニック?そんな
心境になる家庭は、どれ位存在するのかな??
日本は、家庭内の会話が少なくなってきている。
イタリアは、会話が乏しい?そんな事はありえない。
本当に、朝から晩までしゃべっている。
実習期間の4週間、毎日食事を共にしたイタリア人の先生達。
食事をしながら、会話を交わす。絶えずおしゃべりをしている。
イタリア人は、人とのコミュニケーションを、会話を通じ上手にとれる。
そんな才能があると感じた。
電車に乗っても、同席した知らない者同士が会話を交わしているのは、日常的だった。
家族との時間を、大切にしているイタリアの国さながらの、復活祭のピクニック。
実に微笑ましい行事だわ。
商店街の中のハム店にて。
『チャオ(こんにちは)♪』店主が笑顔で迎えてくれる。
そう言えば、ホームステイ先のマンマと一緒に食事をした時の話...。
会話が弾みに弾み♪...夕食を終えたのが、夜中の12時を過ぎてしまった事がある。
(しかも1度だけじゃない。笑。)
何語で会話が弾んだの?それは~勿論イタリア語で!笑。
今から思えば、不思議でたまらない。
よっぽど理解力のあるマンマだったに違いない。
話の続きは、またホームステイの滞在記でお話したいと思う。
マンマとの生活は、今思い出しただけでも、笑み(爆笑)がこぼれるのである。
勿体無いが、まだ先の話になりそうだ。笑
胃袋の大きさは、マンマに負けた。これだけは、書いておかないと。笑。
ジャンルーカ先生(学院の校長先生)が、私達に『今度の休みは、何するの?』
ゆかちゃんが代表して答える(そう、仲良しグループの私達は、恐らく一緒の行動になるに違いない)
『そうだね~フィレンツェにでも、行ってこようかな?美術館巡りとか。。。』
『えっ?美術館だけ?私は、美味しい物と市場が見たいわ~』
そう!また食べる事ばかりを考えてしまう。だって食の勉強に来たんだもん。
学校で食べるイタリア料理とリストランテで食べるイタリア料理。
味の違いを確かめたいわ!
市場にも、美味しい食材が沢山あるはず。そう、心の中で呟きなら、ゆかちゃんに目で訴えた。
きっと彼女なら、判ってくれたと思う。笑
先生が『フィレンツエ??パスクワで何処の店も休みだよ。それに教会に行く人達で
街は、混雑している。フィレンツエには行かない方がいいよ~』とアドバイスをもらった。
滞在しているホテル(学院も併設している)超田舎町(先生が聞くと怒るかな?ごめんなさい)
しかも休日は、食事が出ないのだ。
近くにあるのは、併設したピザ店しかない。(美味しいけど)
夜8時頃まで、明るいイタリア。元気な太陽が覗かせている。
のんびりと過すのには、絶好の機会だけど初めてイタリアへ来た私達には、観光地・そして都会フィレンツエは、興味深々の場所。
先生のアドバイスも参考にしただけで、メンバー全員一致で、
フィレンツエ行きが簡単に決定してしまった。
先生ごめんなさい。笑
学院へ入学して初めての休日。
私達は、ルッカ市内から高速バスに乗り、フィレンツェ行きを目指す事にした。
そして、当日は、日本から新メンバーが加わる。(楽しみ♪)
イタリアレストランで働く経験もあるシェフのトラちゃん。
私より年下の男の子らしい。
九州から来たけんちゃんと同室。
フレンツェへ行く当日(夜中)に到着なので、きっと疲れている。
けんちゃんに誘って見てね。と伝言を頼む。行くか?どうかはトラちゃん次第。
でも、食に興味がある者同士。きっと長旅で疲れてホテルで休養?なんて事はしないはず。
明日は、この1週間を共にしたメンバー(4名)とトラちゃん。きっと5名になるはず。
そう私は、確信をしながら、お布団へ入った。笑
明日は、いよいよ初めての都会・フィレンツェにて、イタリア料理三昧をするぞぉ!
胃袋のコンディションは、言うまでもなく順調だった。明日が楽しみだ。