3 volta
第3話
イタリアの風景は素敵だった。
滞在先のホテルで初めての朝を迎えた。
今日は4月1日。日本との時差は7時間。
一応起床する時刻を日本で決めていた。6時半に起床し、7時にホテルの周辺を散歩、その後に朝食。
9時からのレッスンが始まる。恐らく4週間は食べまくりの日が続くはず。
運動しなくては、帰国後に着る服が無くなるかも?知れない。
料理レッスンは明日から開始。今日は近郊のルッカ市内を見学、レストランで昼食の予定。
わくわくする。
時差ボケも無く、6時半に目覚ましで起床出来た。
部屋のカーテンを開けてびっくりした。
部屋はシングルで決して広くは無いが、ベランダが広~い。
柔軟運動、優雅にお茶でも飲める位のゆったりしたサイズ。
私の一番のお気に入りの場所になりそうな予感♪
ベランダから見える景色は、北海道に似ていた。
緑が沢山(どうやら都会ではないらしい)小高い丘には葡萄畑が広がっている。
家の作りはレンガ屋根で薄イエローのコンクリート壁。
ヨーロッパちっくな可愛らしい家々が、程よい距離感に点々と見える。
窓を開けて外に出てみた。非常に寒く、朝靄がかかっている。
冷たい空気が深呼吸した体内に入ってくる。
『よし散歩へ出かけよう!』ウォーキング用の格好に着替えて部屋を出た。
出会った人には、挨拶してみよう!
フロント(イタリアでは、レセプションと言う)に鍵を預けて、ヴォンジョルノ!(おはようございます!)にっこり笑って挨拶を交わす。
続けて片言で思い切って会話をしてみた。
『散歩してきます』
昨晩、辞書を引いて予習しておいたのだ。笑。
レセプションのスタッフは、Bene(ベーネ、いいわねーという意味合いだと思う。)と私に言ってくれた。
後にイタリア人はとても褒め上手だと言う事がわかった。笑。
bello(ベッロ、素晴らしい、美しいという意味あい)等を3ヶ月間頻繁に耳にした。
色々なシーンで使われる。人々を陽気にさせる素敵な言葉だと思う。
イタリア人は素晴らしい。
私の散歩コース。4月葡萄の木はまだ若葉をつけていない。
20分程、周囲を散歩した。少々寒いが体内を目覚めさせるのには丁度いい。
とうとうイタリアへ来たんだな~。小高い丘を登り葡萄畑を見渡して実感が沸いて来た。
今は日本時間で何時だろう...。家族に電話をしなくては。
飛び立つ前の大きなアクシデント、、、一つ目、それは成田空港直前のリムジンバスの中で発覚した。
宿泊ホテルからリムジンバスに乗り込む間だと思う(そこだけの記憶がポンと飛んでいた)海外仕様の携帯を落としてしまったのである。
成田行きのリムジンバスの車内で気が付いたが、時既に遅し、探すのには時間が無い。
きっぱり諦め、電話会社へ事情を説明し、電話を止めてもらった。何とお馬鹿さんな私。。。反省だけは一応した。
パスポートはあるだろうか?急いで確認をした。何かあった時に日本と連絡をとる為に持参した携帯を紛失。
留学経験のある知人からイタリア国内専用の携帯も借りてきた。それは落とす事なく健在だ。
イタリアに着いた途端、充電したら電波がたった。使用可能な状態。
この携帯じゃ日本にかけれない。朝食後、部屋の電話で国際電話をかけてみよう!
携帯を落としてしまった事は言うべきか?言わないべきか?
やっぱり言おう。驚く事はないと思う。私がそそっかしいのは、わかっているはず。
携帯を紛失後は、イタリア到着後、公衆電話から日本へ電話が出来る国際カード売り場を経由先のミラノ空港で必死になって探した。
まだ慣れていないイタリア語を使い何件も尋ねて回った。
奈良から参加した順子さんはイタリア語を使ってイタリア人に堂々と話しかけるやっちゃん
(私は同期のみんなから、やっちゃんと呼ばれていた)は凄い。
『全然凄くないの...』日本の家族が心配するので、とにかく必死で探したのは事実だけど、
ドジでそそっかしい私の責任だから。必死だった。笑
家族には、無事に元気でいる事を伝えて、『携帯は無いけど、大丈夫』
何が大丈夫なのか?聞かれる前に、早めに電話をきっておいた。
大丈夫、大丈夫。3ヶ月は乗り切れるわ!
朝食を済ませてから、参加者の順子さん、けんちゃん、ゆかちゃんと4人で初めてのルッカ市内見学へ出発。
現地在住の日本人通訳さんと合流し、市内の観光名所や不足している生活必需品を買い揃える事になった。
まずは、イタリアの風景を撮影しよう!
カメラを出した。しかし写らない。なんで??充電したバッテリーを忘れて来てしまったのだ。
しまったぁ~!順子さん、ゆかちゃんが私の代わりに写真を沢山撮ってくれた。
なんて、そそっかしいのかしら。
以降、順子さんは私に忘れ物がないか?親切に尋ねてくれた。
市内は、霧雨が降っていた。自称晴れ女の私。
3ヶ月間の生活で雨にあたったのは、今日とベネツィアでの旅の時だけ。
イタリアの太陽は、私をよりエネルギッシュにしてくれた。